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  メタボリックシンドロームを予防・改善する食事
                                     順天堂大学医学部附属順天堂医院 栄養部
                         高 橋 徳 江
   はじめに
 平成20年度より,メタボリックシンドロームを主眼とした特定健診,特定保健指導が始まった.メタボリックシンドロームとは,内臓脂肪のたまり過ぎが原因で,糖尿病,高血圧,脂質異常症という複数の病気が重なり動脈硬化が進行する状態のことである.ほとんど自覚症状がなく,ある日突然,心筋梗塞や脳梗塞におそわれ,はじめてことの重大さに気づく場合が多い.このメタボリックシンドロームのリスクを絶つためには,まず過食による肥満を解消するのが一番であり,食生活の見直しは不可欠である.
 
   食事の適量と食品の選び方
<1.適正エネルギー量>
 
 肥満がある場合はまず現体重の5%減を目標に減量する.
 エネルギーの求め方は次の通りである.
 エネルギー摂取量=標準体重*×身体活動量**
 *標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
 **身体活動量(kcal/kg標準体重)
 25〜30 軽労作(デスクワークが主な人,主婦
     など)
 30〜35 普通の労作(立ち仕事が多い職業)
 35〜  重い労作(力仕事が多い職業)
 特にウエスト周囲径が男性≧85 cm, 女性≧90
cmの内臓脂肪型肥満はメタボリックシンドロームの第一リスクファクターとされているので,ここにも注目する必要がある.
 内臓脂肪を減少させ,ウエスト周囲径を細くするためには食事療法が効果的であり,体重測定と併せて定期的にウエスト周囲径の測定を行い,その成果を実感することが食事療法継続の原動力となる.
 
<2.炭水化物>
 総エネルギーの55〜60%を炭水化物で摂るのが理想であり,そのためにも毎食主食をしっかり,1日のエネルギー量の約半分をここで摂るようにする.
 簡単な目安は,男性軽く2杯,女性軽く1杯半,高齢者軽く1杯である.“ダイエット=主食を減らすこと”と考える人が多いが,主食を減らせば,脂肪の多いおかずをたくさん食べたり,間食で菓子類を食べる頻度が増えてしまう.毎食主食を適量摂ることが大切である.
 果物の1日の適量は,りんごや梨など大きな物は1/2個,バナナや柿など中位の物は1個,みかんやキウイフルーツなど小さな物は2個が目安である.
 菓子は少量でもエネルギーが高く,血糖や中性脂肪を上げる原因になるため1週間に1〜2回,1回に和菓子1個程度の量にとどめるようにする.菓子や果物は食べるタイミングも大切で間食や夕食後に食べる習慣をあらため,朝食または昼食のデザートとして食べるようにする.
 
<3.タンパク質>
 タンパク質は総エネルギーの15〜20%とし獣鳥肉類より,魚や大豆タンパク質を多く摂るようにする.
 1目の目安量は卵M玉1個,赤身肉手のひらサイズ1切,白身魚1切,(または青身魚1/2切),納豆ミニカップ1個(または絹ごし豆腐1/2丁),牛乳1カップである.
 
<4.脂質>
 脂質は総エネルギーの20〜25%で摂り過ぎに注意が必要である.
 油は料理に使用されているとどの位使われているか見えないのも問題である.図1を参考に吸油量を把握し,油料理は1日1回とする.
 脂質は獣鳥性脂肪を少なくし,魚類性脂肪を多く,植物油はリノール酸含有量が少なくオレイン酸含有量が多い種類を選ぶ.1日に青身魚1/2切とオリーブ油や菓種油大さじ1〜2杯,または種実10〜20gが理想的である.
 
<5.コレステロール>
 卵黄・レバー・魚卵・内臓ごと食べる魚介類・洋菓子に注意し,1日300 mg 以下に抑える.図2のコレステロールを多く含む食品例を参考に,コレステロール含有量の多い食品は1日1品とする.
<6.野菜>
  野菜・海草・きのこ・こんにやく類はビタミンやミネラル,食物繊維が多く,身体の調子を整えてくれる.特に食物繊維は血糖の急激な上昇を抑制し,脂質異常症の改善,血圧の改善に効果的でメタボリックシンドロームの予防に有用である.
 
<7.アルコール>
 飲み過ぎは内臓脂肪を増やす原因の一つであり,節度ある適度な飲酒を心がける必要がある.適量は図3の通りで純アルコールで1日平均20gまでとし,休肝日を設ける.
   食べ方の工夫とコツ
1.食べる順番を意識する
 食事のはじめに野菜・海草・きのこなどの低エネルギーで食物繊維の多い食品をたっぷり食べる.たっぷりとは”生の状態なら両手山盛りいっぱい”“温野菜なら片手いっぱい”.料理の品数では,“ほうれん草のおひたし”と大根の煮物”というように“毎食2品以上”を組みあわせる.

 2.ゆっくりとよくかんで食べる
 1食につき20〜30分か理想的な食事時間である.食卓には必ず“箸置き”をセットし,一口食べたら箸を置いて「よくかむこと」を意識する.

 3.寝る前には食べない
 睡眠中はエネルギーが消費されずに蓄積され,太りやすくなる.食事は寝る2時間前までにすませるようにする.

 4.腹八分目
 お腹いっぱい食べないと気がすまない人は要注意.もう少し食べたいと思うところで我慢するのがコツ.

 5.朝食を抜かない
 1日の摂取エネルギーの合計が同じでも,朝食抜きの2食では3食きちんと食べるよりも太りやすくなる.前日の夜から昼食まで続く十数時間の絶食に対応して,エネルギーを蓄積しやすい体質になる.3食規則正しく食べることが大切であ
る.
 
   おわりに
 長い年月の中でできあがった食生活を改善するのは容易なことではないが,これを機にライフスタイル改善の第一歩を….
 食事療法は継続してこそ意義がある.無理せず,今できることを1〜2つ決めて目標とし,実践することが大切である.
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