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   基調講演 高血圧治療―これまでとこれから―
                                               慶應義塾大学名誉教授
                         猿 田 享 男
   はじめに
 昨日まで琵琶湖で第32 回日本高血圧学会がありました.昨日の夜帰ってきたのですが,その情報も加えて,皆様方に少しでもお役に立つ話ができればと思います.
 高血圧とはどういう病気か,どういうふうにして上の血圧とか下の血圧が決まっているのか,あるいは先生のところではかる血圧とおうちではかる血圧,さらにはこのごろ携帯型の血圧計がありますが,それらがどういう意義を持っているか,また新しい検査法もどんどん出てきました.そして特に重要なのは,糖尿病,肥満と血圧の三つは非常に関連が深いということです.
   血圧とは
 まず血圧は何で決まってくるのか.血液が流れるのは,一番は心臓のポンプの力です.押し出すポンプ力と,その流れを受けて立つ血管の抵抗,この二つで大体決まってきます.そのほかに,血液の量がどのくらいあるか,血液がどのくらいねばねばしているか,心臓につらなる大動脈の弾力がどのくらいあるか.多くはこの五つで決まりますが,重要なのは心臓から押し出す力,それからそれを受けて立つ血管の抵抗で決まってくるわけです.
 先生方は血圧をはかりますと,必ず上の血圧と下の血圧といいます.上の血圧は,心臓が収縮したときの血圧ですから収縮期血圧で,一番高いので最高血圧.すなわち心臓が収縮して血液を送り出したとき,動脈に対する圧力が上の血圧です.これに対して最低血圧(拡張期血圧)というのは,心臓が弁を閉じて心臓からは血液が出ませんが,心臓が収縮した時に押し出された血液が大動脈にたまっていて,そこから大動脈が弾力で血液を出す.すなわち下の血圧というのは,心臓が弁を閉じて心臓からは血液が出てないときに示されている血圧で,上の血圧は心臓が収縮してどっと出したときの圧力です.
 お年を召されてくると血管が硬くなりますが,できるだけ心臓の力で末梢まで流さなければいけないから上の血圧がどんどん上がってきます.これに対して下の血圧は動脈硬化で弾力が低下して,だんだん下がってくる.ですから65 歳ぐらいになって,上の血圧が高いけど下が低いからいいやというのはむしろ危ないんです.動脈がかたくなってしまっているということです.上と下の間が大きくなるほど危険だということを知っておいていただきたいのです.
   血圧のはかり方
 血圧のはかり方で大切なことは,心臓の高さにカフを巻いた腕が来る形ではかります(図1).一番いいの血圧計は昔の水銀の血圧計ですが,水銀中毒の問題があり,それでデジタルの血圧計など今はよく使われています.

 もう一つ重要なのは,手首ではかる血圧計,指ではかる血圧計,上腕ではかる血圧計がありますが,解剖学的には,上腕にカフを巻く血圧計ではかるのが一番正確です.だんだん動脈硬化が来ますから,指先になるとどうしても血圧が少し変わってきます.それから手首ではかるのは楽なんですけど,血管が二つになっていますから,上腕より不正確になりがちで,一番いいのは上腕に巻く血圧計です.
 値段は,ある程度の値段ならみんな同じです.むしろ,はかり方に気をつけていただくことが重要です.今は簡単にカフを巻けますが,本当はそこに指が1 本ぐらい入る形で巻くのが理想的です.それから,上腕の3 分の2 ぐらいを押さえる大きさのカフが巻かれているのが一番理想的です.前に私がNHK の「生活ほっとモーニング」に出たとき,シャツの上からはかったら,それでいいんですかという質問がありました.女優さんだったので腕をみさせたらまずいかなと思って薄いシャツの上からはかったのですが,そのくらいは問題ありません.上着からはだめですが,ワイシャツぐらいだったら値はほとんど変わりませ
ん.ぜひ覚えておいてください.
 さて,実際に血圧をはかるのに,大きく分けて三つあります.一つは,診療所ではかる随時血圧.例えば,薬屋さんのそばにある血圧計ではかるような血圧で,これが一般的なものです.もう一つは,家庭で皆様方が家庭血圧計ではかる血圧.それからちょっと難しいですけど,腰のところにデータを記録する装置をつけて上腕にカフを巻きつけておいて24 時間の血圧を測ることができる携帯型自動血圧計による測定です.一昨年から保険の適用もとれています.ですから一般の随時血圧と,家庭で皆様がおはかりになる家庭血圧と,24時間の血圧測定の三つがあり,それぞれの意義があるということです.
 家庭血圧での一番のポイントは,いま申し上げたように上腕ではかる機器を用いていただきたい.なお,測定するときの体位は寝てはかるなら常に寝てはかるんですが,一般的にはいすに座ってはかるはかり方がいいと思います.はかる時間については,私ども高血圧学会としては朝と夕2 回はかってもらいたい.どうしてもだめな方は朝1 回でいいです.一番重要なことは,朝起きて1 時間以内に,トイレ・洗面を済ませてご飯の前,お薬を飲む前にはかっていただきたいです.
 ほとんどの方は1 回目が一番高いです.2 回目で低くなります.3 回目はさらに低くなります.どれをとるかというのは,実は高血圧学会でももめています.いろいろな考え方があります.1 番目は一番高いから,1 番目の血圧を毎日はかっていけば,一番怖いところを知ることができるという先生もいます.それから2 回あるいは3 回はかる方は,安定したところではかるという考え方で,2 回,3 回はかって,その平均値をとる.あるいは3 回はかる方は,一番近い値の2 回の平均値をとるという形でもやっていますが,それぞれの意義
があります.
 皆様方が毎日はかるならば,それを必ず記録して先生におみせいただくことが重要です.私どもとすれば,おうちの血圧は非常に大切ですから,それを知ることによって治療できます.
 それからできれば夕方にはかります.寝る前が一番いいんですが,お酒を飲んでもおふろに入ったあとでも結構です.一番低いのは寝ているとき(夜中)です.朝と夕でどのくらい違いがあるかということを私たちは知りたいんです.朝が一番高いのは,大体目が覚めるころから緊張してきて,神経が働き出し,そのために血圧が上がってくるからです.朝の6時から7 時ぐらいが血圧も上がるから,脳卒中も心臓病も一番多い.
 もう一つ,朝ご飯,薬を飲む前にはかっていただきたいというのは,皆様方は大概朝1 回薬を服用していると思います.つまり,翌朝まで本当に薬が効いているかどうかを知りたいということです.それを記録しておいて先生におみせすれば,先生方は薬は効いてないんだな,場合によっては朝夕2 回飲んだほうがいいかなというふうに決めるわけです.そういった点で朝の血圧は,薬を飲む前にはかっていただきたい.それから1 回目,2 回目,3回目とだんだん下がってきますが,1 回目は一番危険性があるので,それも意義があるんだということを知っていただきたいと思います.
   血圧の変動
 
 図2は実際に私の患者さんですが,このくらい血圧は動揺します.夜中に寝ているときが一番低くなります.朝方から交感神経という緊張する神経が働いて血圧が上がり,ここが一番高くて脳卒中・心臓病が多い.日中は高い状態が続き,おうちへ帰ってこられて少しくつろいで,寝る前ごろになるとまた低くなって夜中は一番低くなります.実際24 時間携帯型の血圧計ではかりますと,図3 のように動揺します.三つのタイプがあります.

 
普通の方の場合には,寝ると大体血圧が下がります.それで朝方起きてくると高くなる形をとります.ディッパーと変な名前がついていますけど,これが普通のタイプです.要するに寝ると神経がおさまりますから,血圧が下がってくるわけです.
 ところが,ある病気の方だと下がらない.夜,眠れない.よく電車の運転士さんが眠ってしまう,お太りになっていて無呼吸症候群だと.そういう方では,血圧が下がってこない.下がらないために心臓とか血管が障害されてしまう.これはよくあります.かなり年をとられた方は,よく血圧がどんと下がり過ぎてしまう.これもまた危険です.脳梗塞を起こす.ということで,そんなにうまくいきませんけど,手ごろに血圧が下がる形が一番いい.なおあまりにも血圧の動揺がある方の場合には,24時間携帯型血圧計でタイプをみて先生方は治療方針を決めるということです.そういったことも,ぜひ知っておいていただきたいです.ですから血圧のはかり方として,24時間の血圧の変動が大切なんだということを知っておいてください.
 また,白衣高血圧と仮面高血圧(逆白衣高血圧)というのがあります.白衣高血圧というのは,何となくあの先生は嫌だなとか,病院は嫌だなと思うと血圧がぽんと上がってしまう.診察室から出てくると血圧が下がってしまうということで,診察室では高血圧ですが,うちでは正常の血圧.かなり精神的因子が働いています.これからいいます仮面高血圧よりは危険性が少ない高血圧と考えられています.
 仮面高血圧は,診察室での血圧は正常です.先生方はこのくらいだったら薬を少し控えてもいいかなと減らすと,うちに帰って,仕事場ではぼーんと上がって脳卒中を起こす.あるいは,いい薬は24時間効きますが,作用時間が短いと,朝飲んできて診察では正常ですけど夕方とか翌朝になると血圧が上がってしまう.仮面高血圧というのは,このようなタイプであり,非常に危険性が高いということです.
 降圧薬を服用している人では,朝,薬を服用して診察を受けるときは薬の効果はよく出ていますが,夕方とか翌朝になると薬の効果が切れてしまって血圧が上昇することがしばしばあります.また降圧薬を服用していない方で夜中血圧がかなり下がり,早朝に急に著しく血圧が上がる方があります.このような方々は早朝に血圧が上がるので早朝高血圧と名前をつけています.こういった高血圧のほうが危険で,診察室で高いほうがむしろ高いことがわかるということでよいかもしれません.白衣高血圧,逆白衣高血圧(あるいは仮面高血圧)という言葉がテレビなどでもよくいわれていますので,知っておいていただければと思います.
 したがって,家庭血圧と診察室血圧をぜひともはかっていただきたい.家庭血圧をおはかりいただいて,あとは私どもの診察室血圧とで高血圧治療の方針を決めようというのが今のやり方です.
   新しいガイドライン
 2009年1 月に,日本で新しいガイドラインが発表されました.そのガイドラインでみていただきますと,診察室で先生方がはかる血圧は140/90以上でこれまでどおり高血圧.家庭ではかる血圧については,朝の血圧で138/85 以上が高血圧です.診察室血圧より5 ずつ低くなっています.上でも下でもどちらか超えれば高血圧ということになります.携帯型血圧計での24 時間の血圧は平均値でとります.例えば1 時間ごとに24 時間測って平均します.この方法では130/80 が高血圧のラインです.まとめますと診察室は140/90,家庭は135/85,24時間の平均は130/80という形で,今度の日本のガイドラインでは高血圧の定義を決めているわけです.これが最新の定義です(表1).
 
 
 さて,高血圧が問題となるのは,サイレントキラーといって,高血圧が続くことによっていろいろな臓器障害が起こってくることが怖いわけです.すなわち高血圧が続くことによって,血管が障害されて動脈が硬化します.頭に起これば脳動脈硬化,心臓の栄養血管に起これば冠動脈疾患ということで心筋梗塞・狭心症,腎臓に起これば腎動脈硬化(腎硬化症)で透析になったりします.大動脈に起これば大動脈瘤などの変化ということです.
 高血圧は血管障害を起こすので怖いんですが,最初に申し上げたように糖尿病も同じように血管の障害を起こして動脈硬化を進行させます.コレステロールが高いと高脂血症ですね.善玉と悪玉がありますが,特に悪玉のLDL コレステロールが高いとやはり血管障害を起こします.高血圧も糖尿病も高脂血症も,それが続くことによって起こる動脈の変化が非常に大切です.こういうものがみんな一緒になって,そこに肥満があるとメタボリックシンドロームというわけです.肥満に高血圧,糖尿病そして高脂血症が生じやすく,これらが重なると非常に怖いということを知っておいていただきたいと思います.
 もう一つ,医者は血圧をはかるだけではなくて,皆様方がどういう形でどのくらい動脈硬化がきているかを早く知りたいわけです.それで治療方針を立てます.血圧を治療するだけではない,糖尿病を治療するだけではない,高脂血症を治療するだけではない.動脈硬化をいかに早くみつけて対策をたてるかです.
 これまでは血液のLDL コレステロール(悪玉),HDLコレステロール(善玉),中性脂肪をまずはかりました.このごろはあまりやらなくなりましたが,眼底をみます.眼底は直接動脈がみえますので,どのくらい動脈硬化がきているかもわかります.それから心電図で冠状動脈という心臓を栄養している血管の変化とか,心臓肥大がどのくらいかということもわかります.さらにお小水の検査をすると,動脈硬化が進んでくると早くからたんぱく尿が出てきます.こういった検査は今までよくやられてきました.
 さらにこのごろ先生方のところにいくと,動脈硬化をみつけるために動脈壁を刺激がどのくらい速く伝わるかというPWV(脈波伝播速度)が測定されています.もう一つは頚動脈エコーです.皆様方の首の頚動脈がどのくらい硬化していて,どのくらいあかがたまっているかということをみて,それがたくさんあると脳梗塞を起こしやすいということがわかりますから頚動脈エコー検査もやります.さらには末梢の動脈が,動脈硬化がくるとどのくらい流れが悪くなるかという脈の変化をはかることも行なわれています.

 PWV(図4)は,動脈壁を刺激が伝わるときに,血管がしなやかな場合にはスピードが遅い.女性の方は一般に遅いです.血管が硬くなってくるとスピードが速くなります.このような変化が簡単に,痛い思いをしないではかれるようになりました.お年を召されてどんどん動脈壁が硬くなると,すごく速くなってきます.このような新しい検査が先生方の診察現場に取り入れられていますことを是非覚えていていただきたいと思います.
   高血圧の定義

 表2 は,2009年に発表された日本の高血圧治療ガイドラインに示された高血圧の定義,血圧の分類です.正常のところを三つ,高血圧のところを三つに分け,さらに先ほどいった高齢になると上の血圧だけ高くて下が低いというの高血圧が収縮期高血圧です.高血圧は140/90 以上ですけど,140―159/90―99 が一番軽い高血圧です.昔は,軽症高血圧といっていました.軽症高血圧(Ⅰ度)でも糖尿病があると危険です.そういったことで名前を変えようというので,Ⅰ度だとかえって悪いかと思いますがⅠ度が一番軽い高血圧です.昔は中等症といっていたのはⅡ度の高血圧で,160―170/100―109.重症の危険な高血圧をⅢ度高血圧としたのは,180以上/110以上.日本の代表的な地域の疫学研究である福岡県の久山町のデータでは,高血圧の程度が進むと危険性が増してきます.
 正常のほうも三つに分けまして,一番いい,すべて大丈夫ですよというのが120 未満/80 未満です.正常というのは,130 未満/85 未満です.これから高血圧になるかもしれない正常高値が,130―139/85―89 ということです.収縮血圧が140以上で下の血圧が90未満の場合が,上だけが高い高血圧で,収縮期高血圧ということを知っておいていただきたいと思います.
   高血圧の治療
 それでは高血圧をどういうふうに治療するか.高血圧の薬の歴史は約50 年です.昔は,ヒルを肩に乗せて血を吸わせて血圧を下げたとか,いろいろなやり方がありました.血圧の薬が出てきたのが1950 年代です.そのときには,交感神経を抑える薬とか,血管を拡張させる薬です.1950年代の真ん中ぐらいからナトリウム(食塩)が悪いんだということになりました.食塩を体の外へ出す薬として,サイアザイドという利尿薬が出てきました.
 この当時の薬は,副作用がありましたが,ともかく血圧を下げないと命が危ないということで,ただ血圧を下げただけです.その後だんだんとβ遮断薬とか,あるいはちょっと難しいですが抗アルドステロン薬という現在もよく使われている薬が出てきました.
 一番効果的な薬で今使われているのはカルシウム拮抗薬という,血管を拡張する薬です.それからアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とか,アンジオテンシン受容体拮抗薬です.名前が難しいですが,体の中で血圧を上げている一番重要な因子がアンジオテンシンという腎臓のところから出てくる血圧を上げるホルモンです.そのアンジオテンシンを抑える薬で,産生を抑えるのがACE 阻害薬,アンジオテンシンが血管に作用して収縮させるのを抑えるのがアンジオテンシン受容体拮抗薬です.こういう薬が,いま一番使われ
ている薬です.
 そのほかにもっと最近には,皆様方が薬を飲み忘れないためにアンジオテンシン受容体拮抗薬と利尿薬をくっつけた合剤というのも出てきました.

 図5 は,世界で初めて高血圧の薬の効果をたくさんの患者さんでみて,本当に薬が効いているかどうかを明らかにしたVA スタディーです.プラセボというのは,うどん粉みたいなもので何の効果もない薬です.先ほどいった初期の血管拡張薬とか利尿薬の効果をプラセボと比較しています.下の血圧が115〜129と非常に悪い高血圧で,こんなに事故が起こっていたのが,降圧薬を使う
と著しく少なくなっています.
 では,もっと軽い90〜114ではどうか.皆様方にも,これくらいの方はいらっしゃると思いますが,やはりプラセボと比較して降圧薬を使うと,副作用はいろいろありますが,脳卒中や心筋梗塞などが著しく減っています.血圧を下げればよいことが世界で初めて認められたスタディーで,これ以後どんどん新しい薬が開発されたというわけです.
 これまで述べてきたいろいろな薬をまとめると,脳・中枢からの交感神経の活動を抑える薬のほか,末梢で交感神経を抑えるのが,β遮断薬とα遮断薬という薬です.末梢血管を広げる作用が強いのがカルシウム拮抗薬です.
 それから難しい名前のアンジオテンシンという血管を収縮して血圧上昇に働くホルモンは,腎臓,末梢血管,心臓に働きます.これを抑える薬がアンジオテンシン受容体拮抗薬とかアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬です.今使われている薬はいずれも末梢のほうで効くので副作用が少なくクオリティー・オブ・ライフのいい薬です.以上の他には,腎臓に働く昔からの降圧薬が利尿薬です.これは塩気を出そうという形の薬です.心臓,腎臓,末梢血管に直接働くほうが中枢から働くよりは副作用が少ないようです.いま使われて
いるのは,こういった薬であります.
 実際に古い薬(β遮断薬という交感神経を抑える薬)と,カルシウム拮抗薬やACE 阻害薬といった新しい薬とでどのくらい効果が違うか.表3 は横浜の石井先生が1999 年にまとめたスタディーです.古い薬では,脳・心血管の合併症が32.8%起こっていたのに対して,新しい薬だと半分ぐらいになっています.脳卒中の起こり度も半分ぐらいになっています.副作用も少ない上に,新しい薬のほうが非常に効果的になっています.
   死亡推移
 さて日本のこれまでの100年間の変化をみます
と,第二次世界大戦のころには結核による死亡が一番多く,ストレプトマイシンが出てきて結核は急速に減りました.その後は脳卒中や結核以外の感染症が多かったのです.それからの50 年間で脳卒中,心臓病,がんがだんだんとふえてきました.興味があるのは,脳血管障害とくに脳出血は1975年ごろ,塩気を制限するようになったことと降圧薬のいいものが出てきたということで急速に減ってきました.しかし,この後は少し横ばいになっていますが,脳梗塞や今問題になっているメタボリックシンドロームがふえてきて,なかなか
減りにくくなっているのです.
 次に皆様方の寿命です.ついこの間発表になったのは,2007年で男性が79.19歳,女性は85.99歳です.女性は世界で1 位です.男性は2 位になったり3 位になったりしています.これだけ長くなっているのだから,日本の医療というのは非常にいいんですね.しかし,問題なのは日本の3大死因です.悪性腫瘍はふえたものの少し横ばいになっていますが,心臓病は,2003年,2004年,2005 年とこんなにふえています.脳卒中も2004年は一回減ったんです.ところが2005 年は105.3と増加しています.
 何でふえたか.つまり,メタボリックシンドロームなんですね.一番は,日本人の摂取栄養素の時代的変遷です.戦後はたんぱく質12.4%,脂肪はわずか7%でした.ほとんどは,お芋などの含水炭素ですね.その後の経過をみますと,脂肪のとり方が全然減ってこない.マクドナルド,ケンタッキー,そういったものの食べ過ぎがまだ続いているわけです.たんぱく質がもっとふえればいいんですけど.みていただくと総カロリーのとり方は1975年に2226キロカロリーで,そこから減ってきています.減ってきているけど,脂肪のとり方が悪いということが大問題で,厚労省も大慌てでメタボリックシンドロームの対策を立てま
した.
 もう一つは運動習慣です.1993 年には1 日30分程度の運動をしている人は24.3%,女性20.9%です.2003 年には29.3%でちょっとふえていますが,女性はここからふえていないんです.今もこの状態が続いており,いかに運動しなければいけないかです.食べ過ぎで,とくに脂肪をとり過ぎて運動をしないから肥満です.
 もう一つはタバコです.2006年,日本はほかの国に比べて喫煙者が圧倒的に多い.男性41.3%,女性も横ばいで12.4%です.アメリカは26%,英国だって20%ぐらいです.日本がまだまだ多い.タバコはあまり得なことがないんですね.ちょっと息抜きができるとか気休めだといいますけど,得なことはあまりありませんので,ぜひ減らしていただきたいと思います.
   メタボリックシンドローム
 このようなことで,現在日本人の高血圧は3,500 万人から4,000 万人くらいです.高脂血症は3,000万人,糖尿病もどんどん増加しています.したがって,厚労省が慌ててメタボリックシンドロームの対策を立てたということです.
 1人の人に肥満があって糖尿病があって高脂血症あって高血圧がある.全部合併しますと,先ほどいったどれもが動脈硬化に関係しますから,非常に危険だというわけです.
 ではなぜメタボリックシンドロームが起こるかというと,食べ過ぎと運動不足,それから太りやすい体質とそうでない体質が遺伝的にあります.これが重なると,まずは肥満が起こります.特に肥満でも,おなかに脂肪がたまるのが一番怖い内臓肥満です.そうなるとインスリンが効かなくなるインスリン抵抗性になります.インスリン抵抗性というと難しく思えますが,何のことはない膵臓のβ細胞から出てきたインスリンが効きにくいということだけです.要するに,おいしいものを食べて血糖が上昇しますが,それを処理するインスリンの効きが悪いということです.内臓肥満の外からの見分け方として,上半身肥満(アメリカ人のタイプに多い)はインスリン抵抗性の人が多く,お相撲取りのようなアンコ型は皮下脂肪が多く比較的によいわけです(図6).

 糖尿病,高血圧,肥満学会など日本の8 つの学会が集まって「メタボリックシンドローム」の診断基準をつくりました.この基準では,男性が腹囲85 cm,女性は90 cm と少し女性に甘いんですね.それに血圧が130/85 mmHg 以上,空腹時血糖110 mg/dl,中性脂肪150 mg/dl 以上とコレステロールの中で善玉(HDL-コレステロール)が40 mg/dl 未満のうちで2 つの項目が該当すればメタボリックシンドロームです.現在議論があるのが女性の腹囲90 cm です.腹部のCT 検査から危険性を考慮して出された数字なのですが,議論があるところです.これはもうじき変わると思います.男性のほうが問題であることは確かですが.
 実際にメタボリックシンドロームが,日本ではどのくらいいるか.日本では女性がこんなに少しですね.10 数%です.男性のほうが2 倍以上です.アメリカの定義に従うと,全く同じぐらいの頻度になります.そういったことで,少し検討しなければいけないということです.
 では,なぜメタボリックシンドロームが悪いのか.先ほど,三つのことをいいました.糖尿病がある,肥満がある,高血圧がある,これが問題です.よくいわれている沖縄のクライシスです.沖縄では,昔(昭和60年)は男性の寿命が一番長かった.だんだん下がってきて,平成7 年は4 位,平成12年(2000年)には26位です.なぜ下がったかというと,沖縄というのはおいしいものを食べて,ご存じのとおり電車がないので車社会でほとんど歩かない.途端に沖縄のメタボリックシンドロームの発症率がこんなに高くなって死亡数が増
加したと考えられています.
 要するにメタボリックシンドロームになれば,必ず寿命が短くなりますから,メタボリックシ
ドロームにならないようにやっていただきたいというのが私どものお願いです.
   生活習慣の修正
 そこでまず高血圧の治療で一番重要なのが,今度の日本の高血圧ガイドラインで示された生活習慣の修正ということです(表4).

 まず塩気ですが,日本で2002 年は1 日の摂取量が11.4 g でした.今は10.5 から11 g の間ぐらいです.今後はそれを半分ぐらいにぜひともしていただきたい.2 番目がエネルギーです.皆様方が食べるときに,よく知っているように,ご飯,食パン,牛乳,キャベツで全然内容が違いますね.脂肪が少なくて確かにご飯はいいです.牛乳は,たんぱく質は多いですけれどもこのくらいです.同じ100グラムのカロリーはキャベツだとこんなに少ないです.野菜類を多くとっていただきたいということなんですね.食パンは,特にいろいろなものが入っています.要するに脂肪を下げたいわけですが,牛乳は,1 日1 本ぐらいならバランスをとるためにはいいかもしれません.
 外食は,特にお太りになっている方にはよくない.お寿司,カツ丼,ラーメン,いずれも塩気が3〜4 g ぐらい入っています.お刺身は4.5 g.特にカツ丼や天ぷら定食は,脂肪がこんなに高いです.外食では,ざるそばぐらいだとまあまあ脂肪も少なくてよいですね.ぜひともそれを覚えておいてお昼はこういったものをとっていただきたいです.
 次にアルコールです.これも日本では非常に重要ですが,大切なのはアルコールにはカロリーとしての問題があります.私ども高血圧学会が勧めているのは,ウイスキーならシングルで3 杯,ビールだったら中びん1 本,日本酒だったら1合ちょっと,ワインだったら約2 杯,焼酎は日本酒と同じようですがカロリーが高いんです.このどれか一つです.これを守れば,アルコールで血圧は悪くならない.
 これまでアルコールを飲んでいた人が禁酒するより,むしろアルコールを適当に飲んだほうがよいとの報告も出ています.ですからアルコール



は,ともかく基準としてはビール中びん1 本が理想的,日本酒だったら1 合ちょっとですね.
 図7 は外国のデータですが,日本も同じような報告があります.要するに,飲んでいた人が禁酒するより少量飲んだほうがかえって血圧が下がるということです.お酒を飲んでいる人がやめたらストレスになって血圧が上がってしまうということですね.

 図8は難しいスライドですが,運動がどのくらい血圧を下げるか.これは福岡の荒川先生が日本で基準をつくったときのオリジナルのスライドです.運動を始めると,1 日30分の歩行で血圧は明らかに下がってくるということです.上の血圧も下の血圧も下がる,脈拍数も下がる.なぜ下がるかというと,だんだん運動していくとなれの現象といって交感神経が働きにくくなってくる.あるいは,運動していると血圧を下げる物質が出てくる.
 もう少し細かいことをいいますと,どのくらいの運動がいいか.これはエネルギーの消費の係数です.歩くと0.05 ぐらい,早足歩行ぐらいが理想で,例えばテニスだと0.14 とかなり強過ぎます.水泳,平泳ぎだとこんなに使います.私どもとすれば,早足歩行ぐらいのところが理想的で,これを1 日30分やれば確実に血圧は下がります.
 具体的な運動でいいのは,ウオーキング,水中ウオーキング,サイクリングというところです.テニスだとかバレーだとか,息をとめてやる相撲だとか重量挙げというのは非常に危険なスポーツです.ゴルフもいいんですけど,ゴルフで一番いけないのはパターで最後にどうしても入れよう,入れようと思って神経を使って,そこで心筋梗塞を起こす人が随分いますから,それはだめだということです.遊びでやらなければいけないということですね.
 実際に皆様方にやっていただきたいのは,歩行で1 日30 分です.先ほどの荒川先生が歩行のスピードに関して,ちゃんと式をつくってくれました.138 から年齢を2 で割ったのを引きます.例えば60 歳の方ですと,138 から30 を引いた108という1 分間の脈拍数で1 日30 分歩けば非常に効果的だということです.30 分なんかできませんという人は,朝15分,夕方15分でもいいようです.あるいは毎日できない人は,1 日置きに1時間ずつ月,水,金でやっても同じ効果です.とにかく一番重要なのは,138 からご自分の年齢を2で割ったものを引き算した脈拍数(1 分間の脈拍数)(不整脈がある方は別です)になるような形での運動を30 分やれば確実に効果があるので,ぜひともやっていただきたいと思います.
 そういったことで,食塩を減らす,野菜(カリウムやビタミンC)を多くとる,BMI(体重指数)を減らす,アルコールはビール中びん1 本にする,そして1 日30 分歩けば,これだけ血圧が下がってきます.これは証拠として出ていますから,うそではないんですね.特に運動というのは非常に効果的です.そういったことが寄り集まれば,薬を使わないでもかなり血圧を下げられるだろうということです.
   降圧目標
 さてそういったことで,皆様方はどこまで血圧を下げるのか.一応私どもは,診察室血圧では若い人,中年,65 歳未満の方は140/90 よりもっと下げて130/85 ぐらい.65 歳を超える方々は大体140/90 未満にしていただければいい.ただし糖尿病だとか腎臓病だとか心臓病のある方は130/80 未満,脳血管障害が昔あった人はやはり140/90 未満と降圧目標が低くなりました.家庭血圧は,全部5 ずつ低くなっているだけです.
 ともかく降圧目標が低くなっていますから,これをいかに達成されるかです.いま使われている降圧薬を使用量の順でいきますと,カルシウムを抑えて末梢で血管を広げるカルシウム拮抗薬,アンジオテンシンという難しい名前の,体でつくられている血圧を上げる物質を抑えようという薬,それからお小水からナトリウムを出そうという利尿薬が中心です.そのほかに交感神経を抑える新しい薬もあります.
 もう一つ問題なのが,先生方もいけない,患者さんのほうもいけないのですが,降圧目標に達している患者さんがまだ少ないんですね.先生方が私の治療によって大体58%の患者さんはちゃんと目標にいっていますよというのですが,カルテをみて確認しますと,なんとまだ39%で,20%も誤差があるとする報告がでています.早く降圧目標を達成させることが,脳卒中・心臓病の予防になります.
 ですから皆様方も家庭で血圧をはかったら記録をして,その記録を先生にみせてもっと下げていただくことです.先ほどいった140/90 未満,あるいは糖尿病があったら130/80 未満になっているかということが大切です.そういった点で,もっともっとみんなで努力していこうということです.
   薬
 血圧を下げるために,一つの薬だと不十分であり,下がりが悪ければ,二つ併用しましょうということになりました.皆さんは,何でたくさん薬を飲ませるんだといいますが,併用したほうがよく血圧が下がります.カルシウム拮抗薬と利尿薬.アンジオテンシンを抑える薬とカルシウム拮抗薬,アンジオテンシンを抑える薬と利尿薬という併用療法が効果的で,二つまでは許していただきたいということです.

 実際,図9 は私どもの教室の斉藤先生が行なった研究ですが,皆様方をみていますと,薬が一つとか二つのときは非常によく飲んでくれます.服薬が正しく行なわれているかを服薬のコンプライアンス(最近はアドヒアランスといいます)が,85%から90%近い人が二つまでの薬は先生にいわれたとおりに飲んでくれます.3 剤目になりますとかなり服薬率が悪くなります.それから胃の薬とほかの薬を飲んでいる場合も1 薬2 薬までよく,3 薬まで飲むと落ちてくるということで,私どもとしてもできるだけ二つの薬で血圧をコントロールしたいというふうにやっています.
 そうなると併用ではなくて合剤にすればよいという考えがでてきます.2 年前からやっときちんとした合剤が出てまいりました.合剤というのは,二つの薬をまぜて一つにしてあるわけです.そうすると,合剤にすれば数が少ないですから忘れない.高血圧治療において併用療法が一般的になってきたことと,合剤をすると薬剤数を減らすことができ,非常に便利です.それから値段も安くなる.欧米ではたくさんの合剤が出ています.
 むずかしい名前のアンジオテンシンを抑える薬と利尿薬の合剤は日本ではもう四つ売り出されました.さらにカルシウム拮抗薬とコレステロールを下げるスタチン製剤とを合わせた薬も認可されました.それからアンジオテンシンとカルシウム拮抗薬の合剤が出てきます.皆様方は便利になります.
 高脂血症の薬で一番よく使うのはスタチン製剤です.これと降圧薬の合剤が出てきましたが,中性脂肪を抑えるフィブラート系薬剤や消化管から脂肪の吸収を抑える薬も重要です.
 糖尿病もいろいろな薬があります.インスリンの注射を打つ場合もありますが,例えば肝臓で糖をつくるのを抑えようとするビグアナイド系,消化管から糖が吸収するのを抑えようというαグルコシダーゼ,膵臓に働いてインスリンを出させようというスルフォニール,あるいは先ほどいった内臓肥満を改善する薬もあります.糖尿病の薬と血圧の薬とはまだ合剤が出てきませんが,糖尿病の薬にも降圧薬と同じでいろいろなタイプがあ
ります.
 私どもとしては,血圧はできれば中年の方は130/85未満,LDL(悪玉)コレステロールが120未満,善玉を40以上,中性脂肪は150未満,空腹時血糖はできれば100未満.これは厳しいです.あるいはヘモグロビンA1C という1ヵ月の平均を5.2%.私は日本生活習慣病予防協会の理事をやっているのですが,血圧・脂質・血糖がこのようにコントロールできれば理想的と話しております.そうするとさらに長生きすると思いますので,ぜひやってください
   服薬時の注意
 あと一番問題なのは,服薬の注意です.降圧薬の服薬の注意は,降圧薬の数があまり多くならないように,また服薬法が複雑にならないようにするようにつとめます.先生にあまり複雑な服用法にならないようにお願いすることです.現在,使用されている降圧薬は作用時間が長くなっており,重症の場合を除いて大概1 回で済みますけど,多くても朝夕2 回までです.できるだけ前日から,朝あるいは朝夕服薬する薬を小さい容器にでも入れたりして服薬を忘れない方法を考えることです.
 服用したかどうかわからなくなった場合は,これが重要ですが,半日ずらして服用する.今は作用が長くなっていますから,すぐに服用せず,服薬したかどうかわからなくなった場合は半日ずらして服用する.すなわちわからなくなったら,すぐ服用せず夕方飲んでくだされば大体効いてきます.
 家庭で血圧をはかって低くなったからといって,ご自分でやめないでいただいきたい.血圧は非常に動揺しますから,記録をして主治医の先生と相談する.もし目まい,そのほかがあったら,その日にでも電話してみていただく.上がったり下がったりしていますから,ご自分で血圧の薬を調整するのが一番怖いです.これが,私が考えている服薬上の注意です.
 それから皆様方がよくいうのは,降圧薬の服用を始めたら,またやめられるかどうかです.少しの方ですが,やめることもできるのです.両親・兄弟に高血圧や脳・心臓病がない場合は高血圧の遺伝が比較的少ないですから,割とやめやすい.生活習慣の修正をしっかりすること.これは重要です.食塩制限,過食の注意,アルコール制限,禁煙,もちろん運動をやっていただく.
 降圧薬をやめる時期ですが,降圧薬を服用して血圧が常に130/80 未満になっている人では,春から夏に向かって止めていくこと.というのは,血圧は季節で変動します.夏になると血管が広がって血圧が下がります.たくさん飲んでいる薬を減らしていって,3 月ごろから1 錠にして,さらに弱い薬にして,5 月,6 月にやめる.また寒くなってくれば,やむを得ない場合は使いますけど,急に止めたり飲んだりしなければそんなに危険ではないので,こういった形を先生にやっていただきます.
 もう一つ,血圧を下げる食品というのは,ペプチドだ何だと随分テレビで宣伝しています.しかし,その多くは,降圧薬のようなものが少量入っています.降圧薬みたいなものですから,よく注意しなければいけません.種々のペプチドにはアンジオテンシンを抑える薬のようなものが少量入っています.たくさん飲むと,ひどいときはせきが出たり,いろいろなことがあります.
 そして,服用するなら,毎日指示された量を飲まないといけない.1 本のところを3 本飲みますと薬と同じ効果になります.ですからいろいろな副作用が出てきます.一番怖いのは,妊婦がたくさん飲み過ぎると赤ちゃんが亡くなってしまうようなおそれがあります.そういったことで,私は非常に注意しています.指示された量よりたくさん服用したり,服用を止めたりすると意味がなくなるので,飲むならばきちんと飲む.いいかえれば,ちゃんとした薬を飲んだほうがいいということで,その程度です.
 糖尿病とか肥満における食品とは少し違うように思っています.血圧に関しては血圧を下げる薬ですから,下げるためには薬のようなものをちょっと入れないとできないということを知っておいていただきたいと思います.ですから明らかに高血圧の方はこういったものに頼らないで,いいお薬を飲んだほうがよいと思います.
   おわりに
 高血圧治療のまとめですが,高血圧と診断された方は,家庭血圧計を購入し,少なくとも朝1 回,できれば朝と夕にはかって記録をしてもらいたい.食塩制限,過食,アルコール制限,禁煙,適度の運動といった生活習慣の修正をしっかり行ってもらいたい.降圧薬の投与が開始された場合,医師の指示どおり忘れずに正確に飲むことが非常に重要です.投薬を受ける際に,薬の特徴と副作用を先生にきちんと聞いていただきたい.それでできるだけ服用しやすいように,忘れないように服用できるようにしていただきたい.家庭血圧を測定していても,血圧は動揺しやすいことから自分で服薬量を調整したり勝手に中止せずに,先生と相談してやっていっていただきたい.
 こういうことが,いま日本の高血圧学会が皆様にお願いしていることです.ご清聴ありがとうございました.
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