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   パネルディスカッション「市民の疑問に答える」 
         健康食品・サプリメントについて
                                               東京内科医会理事
                         石 川   徹
 まず,はじめにお話しておきます.健康食品・サプリメントは錠剤あるいはカプセルなど,薬のような形をしているものも含めて,「薬」ではありません,あくまでも「食品」です.健康食品についての明確な定義はなく,厚生労働省の「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会」では「広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用される食品全般のことを健康食品と称し」としています.
 健康食品が広く使われるようになったのは1990年代の後半からです.1996年に総理府の「市場開放問題苦情処理体制(OTO)」が米国からの市場開放,規制緩和の要求にこたえて健康食品の販売を解禁し1997 年からコンビニ,スーパーなどでビタミン類の販売が開始され,1998年からはハーブ類,1999年からはミネラル類,2001年からはアミノ酸がそれぞれ「食品」としての販売を許可されています.
 健康食品の利用の増加に伴い,健康食品による健康被害がたびたび報告されており,最近でも新聞におおきく報道された事例もあります.こういった中,東京都医師会では東京都と協力して「健康食品の安全性に関する検討会」を設置して健康食品を安全に使用していただくために各種の検討をおこなっており東京内科医会からも2 名が委員として参加しています.
   1.東京都食品安全情報評価委員会での検討による
         「健康食品を安全に利用するための12 のポイント」
①「健康食品」は,素材の種類や食べ方(加工)が一般の食品と異なることがあります.そのため,安全性については一般の食品よりも慎重に考えるようにしましょう.
 「健康食品」には,なじみのない動植物や鉱物など,食経験のないあるいは乏しい素材が使用されているために,安全性に関して食経験を参考にすることができない場合があります.また,錠剤やカプセルなどに加工する際におこなわれる濃縮や抽出で,食材の性質が変化することにより,元の食材の食経験が参考にできない場合があります.
②「健康食品」は,あくまで食生活における補助的なものと考えましょう.
 単に栄養を摂るということだけでなく,味や香りを楽しみ,食べることを楽しむことも健全な食生活のために必要なことです.また,身体に必要な成分には未知のものもあると考えられるため,「健康食品」から一部の栄養成分などを摂取することだけで,健康を維持することはできません.健康の維持・増進のためには,「主食,主菜,副菜を基本とするバランスのよい食事」をとることが重要といえます.「健康食品」は,食生活で十分に摂取することが難しい栄養成分などを補給する,食生活に対する補助的な役割のものと考えるべきです.
③「健康食品」は,病気や体の不調を治すものではないことを意識しましょう.
 食品は健康の維持に対して一定の働きがあると考えられます.「健康食品」も同様です.しかし,「医薬品」のように病気や身体の不調を治療するものではありません.
④「健康食品」を利用する前に,普段の食生活で,本当に不足している栄養成分があるか,考えてみてください.
 栄養補給を目的に「健康食品」を利用している人は多くいますが,ほとんどの栄養成分は,日本人の平均的摂取量からみると,「健康食品」からの摂取分を除いても,ほぼ必要な量に達しています.「健康食品」を利用する前に,食生活を振り返って自分自身に足りない栄養成分が本当にあるか検討してください.
⑤食品の機能を紹介する「健康情報」は,そのまま受け入れるのではなく,科学的な視点に基づく判断をおこなったうえで参考にしてください.
 テレビ,雑誌,インターネットなどでは,特定の食材や成分に,健康に役立つ機能があるとする情報が様々に取り上げられています.こうした健康情報を参考にするときは,批判的な目を持って,科学的な信頼性を検討する必要があります.図に示す3 つのポイントについて確認できない健康情報は,科学的な根拠に乏しく,信頼性に足るものとはいえません(図1〜3).
⑥製品を選ぶ際には,表示や広告をよく確認してください.
「製造者や販売者などの名前や原材料の表示はありますか」「表示や広告に,お客様相談窓口などの連絡先が書かれていますか」「栄養成分やその他の含有成分の量などについて表示がありますか」「安全性や品質について不適切な説明をしていませんか」などしっかり確認してください.
⑦個人輸入やインターネットオークションを利用する際には,製品に関する情報の確認をしっかりしてください.
「健康食品」を個人輸入する場合,利用しても安全かどうかの確認は,購入者自身がおこなわなければなりません.またインターネットオークションでは,安全性に問題のある製品が流通していても把握することが困難です.個人輸入やインターネットオークションで「健康食品」を入手しようとする際には,十分に情報を収集し,少しでも安全性について疑わしい点がある場合には,購入を見合わせてください.
⑧保健機能食品制度について理解を深めることは,「健康食品」を利用するうえで重要なことです
 保健機能食品には,国の定めに従って,機能や安全性に関する様々な情報が表示されています.保健機能食品の制度は,「健康食品」を選択・利用するうえで参考にできるものです.特定保健用食品(トクホ)については後ほどお話します.
⑨特定の成分を過剰に摂取しないように気をつけてください.
 「健康食品」には,抽出や濃縮などの加工により特定の成分を多量に含有するものがあり,これらを過剰に摂取することで健康に悪影響を及ぼす可能性があります.複数の「健康食品」を利用する場合,気づかないうちに同じ成分を重複して摂取してしまうことがあります.過剰摂取を防ぐために,それぞれの製品の含有成分を確認しましょう.
⑩「健康食品」の利用期間や量などについて記録をとってください.
 「健康食品」の適切な利用のためには,何をどれだけ摂取しているか,自分自身で把握することが大切です.「健康食品」を利用して,身体に不調を感じたとしても,「健康食品」との関連を証明することは簡単ではありません.そのため,何を,いつから,どのぐらい利用しているかということが,相談を受ける医療関係者にとって,とても重要な情報になります.
⑪体調不良を感じたら,すぐに利用をやめて医療機関を受診してください.
「健康食品」を利用した人の中には,「下痢をした」,「湿疹が出た」,「肝機能が低下した」等の体の不調が報告された例もあります.「健康食品」を利用していて体調不良を感じたら,すぐに利用をやめて,医療機関を受診してください.
⑫治療を受けている人が「健康食品」を利用する場合には,医師や薬剤師などに相談してください.
 現在,薬を飲んでいる人や治療を受けている人が「健康食品」を利用する際には,「健康食品」の利用状況について,必ず医師や薬剤師などに伝えてください.現在の治療を中断してはいけません(図4).
   2.特定保健用食品(トクホ)について
 特定保健用食品は国が製品として有効性や安全性を評価し,承認した製品です.しかし,その名前が示すとおり,あくまでも「食品」です.高血圧や糖尿病など特定の病気を治療する薬の替わりになるものではありません.トクホは1991 年に制度化され,当初は医薬品と区別をするため,明らかな食品の形態をしていることが必須要件でしたが2001 年からは錠剤やカプセルでも許可されるようになり,2008年12月25日現在で825品目がトクホとしての表示の許可を受けています.
 トクホにおいては通常の食品には認められていない「特定の保健の用途の表示」ができます.特定の保健の用途の表示とは「健康の維持・増進に役立つ,または適する旨の表現をする」ことと「医薬品のように病気の治療や治癒に対する効果の表現は認められていない」ことです.図に例を示しておきましたが,購入されるときにはこれらの内容をよく確認していただき,トクホに過大な期待をしないようにしてください(図5,6).
   3.子どもとサプリメント
 「国立健康・栄養研究所」が2007年に全国各地で行った1,553人の調査では,幼児の15%がサプリメントを使用した経験があり,使用幼児の親も実に94.6%がサプリメントを使用していました.使用理由の6割は「栄養補給」目的で,その他では「健康増進」「病気予防」「能力アップ」「なんとなく」までありました.また利用製品の半数は「幼児用」のサプリメントでした.
 そもそもサプリメントの子どもに対する有効性・安全性は検証されていません.幼児用サプリメントは味も形も食べやすくなっており,子どもが勝手に食べ過ぎてしまう危険もありますので特に注意が必要です
   4.最後に
 健康食品の利用についてどんなことでもよいですから,普段からかかりつけ医に情報を提供してください.
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