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     第21巻2号・2005年12月
   医療改革に望むこと
                        東京内科医会 理事 柴 本 昭 雄

 昨今、医師が一番関心を持っていることは医療改革の話でなかろうか。
 先の郵政民営化関連法案が国会で否決された後、衆議院が解散され、総選挙で自民党が衆議院480議席のうち296議席を獲得して圧勝し、名実ともに第1党となり、郵政民営化関連法案を成立させた。この結果、他の法案の成立をも思いのままに改正できるという勢いで、医療費の伸びを抑制しようと医療制度改革に向かっている。2006年度の改定では、医療行為の単価となる診療報酬に関して、報酬全体でなく薬価などを除く本体部分も引き下げる方向で検討に入った。さらに、高齢化進展による医療費増加も抑制するため、新たに高齢者医療保険を創設し、本体部分が初めてマイナスになった2002年度(1.3%)を超える引き下げを考えているようだ。このほか、昨年9月に出された混合診療の問題では、ニーズの高い分野(不妊治療)の解禁や新しい高度の検査法、薬剤、治療の解禁と合わせ、医療法人を通じた株式会社の医療経営の参入を認めようとしている。これが認められれば、患者さんは自己負担が増えるため、民間の医療保険に加入するようになり、さらに医療制度が混乱しかねない問題を含んでいる。
 
 国民医療費における病院、診療所、薬局の構成割合をみると、診療所の収入は昭和50年に約40%、昭和60年で30.1%、さらに平成11年には24.6%と減少し続けている。その原因として、患者さんの大病院指向、専門医崇拝と現在の診療報酬体系や診療所の増加にも問題があると思うが、来年度の改革でさらに少なからざる変化があることを考えると、我々第一線で働く開業医のこれから歩く道は平坦でいられそうにないと思われる。日本医師会がこれらに対しいかなる対策をとってくれるかを注視したい。
 
 OECD調査によると、わが国の総医療費のGDPに対する比率は諸外国の中で17位と比較的低いが,実際には高い健康水準を保っている。すなわち、世界一の長寿と乳児死亡率の低さをみても日本の医療制度がいかに素晴らしいものであるかがわかる。改革の名の下に行われようとしているこれらの新たな医療制度が進み,現在の素晴らしい制度が崩れることに危惧の念を禁じ得ない。
 
 戦後60年間の食生活の欧米化と環境の変化による高血圧,糖尿病,肥満などの生活習慣病の増加、老齢化による脳血管障害、認知症の増加、癌、エイズの増加が著しいが、我々第一線のかかりつけ医は地域住民の健康を守るために活動しているのである。このためには、日進月歩する新しい知識を有し、患者さんの納得するインフォームド・コンセントを含めた良い医療を提供しなければならない。初期治療を受け持つ我々開架医の診療そのものを評価のひとつの尺度としてもらいたいものである。
 
 最後に、内科医として幅広い医療活動を行い、総合的な知見を高めようと東京内科医会と日本臨床内科医会の活動に心血を注ぎ、東奔西走された東京内科医会会長で日本臨床内科医会副会長でもある川上忠志先生が急逝されたことは、誠に残念であり、惜しまれる.来年度開催される日本臨床内科医会総会および第20回東京内科医会医学会を是非とも成功裡に終わらせなければならない。
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