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     第22巻1号・2006年8月
   喫煙は疾患 禁煙指導は医師の責務
                        東京内科医会 常任理事 吉 田 幸 子

 4月16日に開催された、第2回(通算23回)中問法人日本臨床内科医会総会のランチョンセミナーで、「喫煙は疾患、喫煙者は患者」と題して、岐阜大学教授、藤原久義先生の講演が行われた。本年4月から「禁煙指導(ニコチン依存症管理料)」が保険適用になった。これは禁煙の大切さを医療経済の面から検討した結果であろう。セミナーは良いタイミングであり、出席者多数、盛況であった。
 
 とは言え、この「ニコチン依存症管理料」には厳しい要件がつけられているために、適用を申請した医療機関は、未だに少数に留まっているようである。施設基準の厳しさのうえに、対象患者も限定されている。ブリンクマン指数200の条件では10〜20代の喫煙者のほとんどは対象にならないため、活用しづらい管理点数である。そのうえ、4月28日付の厚生労働省の疑義解釈の中で、「ニコチンパッチ」が薬価収載されるまでは、自費徴集の有無にかかわらず、パッチを使用する禁煙指導はすべて自由診療とすると明言し、ガイドラインの標準禁煙プログラムに沿って禁煙治療を行った場合、ニコチンパッチなどの補助薬を使用すれば混合診療にあたるとした。現場の混乱は必至である。
 
 わが国でもタバコ関連死は年間10万人で、交通事故死亡者数の10倍にあたるという。タバコ煙には400種以上の化学物質が含まれ、そのうち200種類は有害であり、主としてニコチン、一酸化炭素、タール、活性酸素などである。2004年米国保健福祉省報告では、発ガンのみならず種々の「喫煙との因果関係の存在する根拠のある疾患」を多数判定している。
 
 主流煙だけでなく環境タバコ煙(副流煙と呼出煙)のほうが有害で、喫煙者周辺の女性や小児の受動喫煙による害も明らかになっている。近年タバコに対する種々の規制や対策が講じられているが、わが国では男性喫煙者は減っているものの若い女性層の喫煙率は逆に増加傾向にある。気のせいだろうか。住宅地での「くわえタバコ」をしている人が多くなったようにみえる。正確なデータがあるわけではないが、以前は私が家から駅に行くまでに、くわえタバコをしていたり、駅前の雑踏の中に火のついたタバコを指先に優然と歩いている人を見かけることはなかったように思う。休日の繁華街の喫煙所でも半数が女性であり、しかも若い女性が圧倒的多教である。くわえタバコが増えているのは「禁煙」の場所が多くなった反動ともいう。確かに公共施設を中心にして分煙化からさらに、敷地内全面禁煙というところが増えたし、「路上禁煙区域]に指定されたところがあり、喫煙はその分規制のない住宅街に追いたてられている。
 
 ここ数年でも、日本医師会、日本呼吸器学会、日本循環器学会が「禁煙宣言」を表明し本年2月には禁煙学会も設立された。未成年者の喫煙防止教育ならびに禁煙支援をするため新学習指導要領にも小学校6年生の喫煙防止教育を明記し、タバコについての正しい知識を学校現場からも働きかけている。
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