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     第23巻2号・2007年12月
   何処へゆく 臨床内科医
                        東京内科医会 常任理事 神 保 勝 一

 東京内科医会の発足以来、その理念は進歩する医学、医術に遅れることなく最先端の医学を学習し、これを臨床の場に提供することにあったと思っている。従って、東京内科医会には本会の目玉とも言うべき臨床研究会があり、都内の大学や有名市中病院を順次巡り、内科学の最先端の症例や現在進行中の研究課題を学んできた。また、ご指導下さる大学、病院側も貴重な症例や教訓となる症例を準備して我々の期待に応えて下さった。
 
 このような大場模でかつ先端医学を身近に学ぶ企画は他に類を見ない。たとえば、日本内科学会学術集会では全体を詳細に見て回ることは不可能で会場を巡るだけで時間切れとなる。また、学会が行うセミナーも全項目を網羅することは困難で先端の研究の一端を披露する形式的な発表にならざるを得ない。
 
 日本内科学会や大学、中核病院を先端医学の場とすれば、我々開業医は臨床の最前線にいる。急性疾患や希な疾患を経験するのは、開業医の特徴と言って良いのではないだろうか。一方、慢性疾患や悪性疾患、難病や未解決の疾患は専門医に頼らざるを得ない。そこで開業医と専門医との相互交流が必要になり、互いの専門と研究を話し合う場が必要になり、臨床研究会の重要性ができた。
 
 この会を主催する東京内科医会学術部は各大学各内科教授らと親密に連携をとって毎回素晴らしい企画を場供してくれている。これに参加しないのは自らの特権を放棄しているように思うが、会場が遠方であったり、テーマが自分の専門と異なったり、他の行事と重なったりと色々の事情があり、無念の涙をのむこともしばしばである。その代わりに東京内科医会会誌がこれを補って詳細な論文を掲載し会員に配布している。さらに、セミナーや講演も随時開催されていることは、従来からの本会の理念が脈々と続いていることを顕している。
 
 加えて、最新の技術を伝授する方法として超音波実地研修会も開催している。近年、動脈硬化や脳循環を診断する糸口として、超音波を用いて頚動脈のプラークを総頚動脈や内頚動脈、外頚動脈の血管壁を測定する試みがある。プラークの好発部位は臨床家にも計測可能であり、高血圧症、高脂血症(脂質異常症)の患者から是非計測して欲しいと要望されている。ことに糖尿病を合併した場合などは進んで計測することが要望されている。また、学会や研究会などから「動脈性疾患予防ガイドライン」が発表され、各所で熱心な討論が交わされている。本会の超音波臨床研修はこの要望にも応えている。さらに心臓エコーの指導も行っている。これらの企画は本会の特徴を如実に表している。
 
 ここ数年、当局による医療費の圧縮によって、医療構造に影響を与えるほど深刻な状態に陥っている。しかし、本会でも以前から指摘してきたように、この問題に真剣に取り組むほど本道から外れてゆく気がする。かつて、倉井理事が日本内科学会評議員として内保連に出席し保険制度について篤く提案してきた。それはあくまでも学会を通しての意見具申であり、その提案は学会内のみならず当局にも影響を与えてきた。しかし、今や、介護や在宅、訪問診療、さらにはそれらをまとめたような資格の問題まで持ち出されている。
 
 仮に学問追求の立場を取るなら、日本内科学会の傘下にあって活動を継続する道を選ぶ方法がある。一方、医療構造や保険問題を重点にするならば現在静かに進んでいる日本医師会のもとで日本医学会に並立する日本総合臨床医学会を創立してその中核となる道がある。しかし、当面は静観し、大いに会員全体で討論するのが望ましい。どちらの道を選択しても臨床内科医は中心に座して日本の医学、医療を牽引する力を持っていると思っている。
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