第34巻−2号
- 子供の医療費助成制度について
子供の医療費助成制度について
先日カンボジア旅行に行ったとき、ホテルからアンコールワットの遺跡に観光に行く途中、人がたくさん並んでいる建物があったのですが、現地のガイドさんに何の建物か聞くと、小児専門の病院で、その病院では無料で治療が受けられるのだと少し誇らしげに話してくれました。
東京でも中学生までは医療費が無料なのを思い出し、その旨教えたら、ガイドさんは少し複雑な顔をしていました。 当たり前のように受けていた日本の小児の医療費助成のサービスですが、自分が開業している地域や自宅がある地域(自分の子供が通院する地域)以外、どうなっているのかほとんど知らない事に改めて気づきました。そこで、実際にはどうなっているのか調べてみました。
そもそも、小児の医療費の助成はどのように決まっているかというと、各都道府県別に、何歳まで無料かという年齢制限、一部負担金の有無、所得制限の有無が決められており、その規定に各市町村が補助を上乗せしていく形で決定しています。
東京都の規定では、助成は中学卒業までで、入院は国民健康保険や健康保険の自己負担額を全額助成、通院は自己負担額から一部負担金(通院1回につき200円(上限額))を控除した額を助成となっています(東京都福祉保健局ホームページより)。
東京の実際の各市町村の助成状況ですが、東京23区では基本的に中学卒業までは一部負担金なしで全額助成しており、さらに千代田区と北区は高校卒業まで助成対象になっています(北区は入院費のみ)。多摩地区では200円の一部負担金を徴収するところが多く、所得制限を設けているところも多いようです(日ノ出町や奥多摩町などでは高校卒業まで全額助成)。
全国レベルでみると、1,741市町村のうち中学卒業までが1,005と一番多く、高校卒業までも378ありますが、一方で就学前までも202と決して少なくありません(平成28年4月1日現在、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課調べより)。
少子高齢化が叫ばれる昨今、小児の医療費助成がなくなることはないと思いますが、都道府県、市町村によりだいぶ差があることも事実です。
この先、この制度が低いレベルに統一され縮小することがないようしっかり監視する必要があるのではないでしょうか。
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