生活習慣病予防に向けて
国連およびWHOは2025年までに「非感染性疾患」(心血管疾患・癌・COPD・糖尿病・その他)による30歳から70歳の死亡率を2010年よりも25%減少させることを呼びかけている。
わが国では2008年より生活習慣病対策として「特定健康・特定保健指導」が始まり、昨年7月には「健康日本21(第2次)」が策定された。
東京都では、本年これに基づき「東京都健康増進プラン(第2次)」を策定し、今後10年間にわたり健康寿命の延伸・健康格差の縮小を目標に以下の指標を示した。①癌の75歳未満年齢調整死亡率を下げる。②糖尿病合併症の発症率を減らす。③脳血管疾患および虚血性心疾患の年齢調整死亡率を下げる。④COPDの認知度を上げる。これを推進するために、保健医療機関団体には、その専門性を活かして都民の健康づくりに貢献するとともに、発症予防・早期発見・早期治療・重症化予防の観点から指導・助言や受診の勧奨を行うことが求められている。
東京都医師会では、「生活習慣病対策委員会」が、2006年より「糖尿病予防推進医講習会」を開催しており、2012年からはメタボリックシンドローム・循環器疾患・CKD・禁煙対策等の講習会を行っている。
当会会誌には、生活習慣病およびそれに関連する記事が毎回掲載されており、会員の日常診療の場で有効に活用されている。2007年からは都民にわかりやすい医療情報を提供するために「市民セミナー」が毎年開催されており、テーマには毎回生活習慣病に関連するものが含まれている。講演内容についても特別講演だけでなく、会員によるパネルディスカッションも多くの参加者に好評を得ている。昨年度より講演会の抄録集も配布され、講演内容がより理解されやすくなっている。
今後は講演で供覧されたスライド・図表等を取り入れた生活習慣病予防マニュアル、パンフレット等を作成して、実地診療の場で活用するとともに、一般市民にも提供できれば都民の健康づくりにも貢献できるのではないだろうか。
東京内科医会は来年30周年を迎える。これを機に「30歳になったら、できることから始めよう、生活習慣病予防」のスローガンのもとキャンペーンを始めてはいかがだろうか。