会誌:第30巻−3号[目次]

平成26年度 川上記念賞
第30回日本臨床内科医学会のお知らせ
巻頭言
2025年に向けて思うこと東京内科医会 常任理事 須藤 秀明231
東京内科医会 学術講演会

知っておきたい! 皮脂欠乏症の診断・治療のポイント白濱 茂穂

232

帯状疱疹の初期治療の重要性と腎機能障害本田 まりこ

236

帯状疱疹関連痛の予防と治療のポイント山口 重樹,他

239

小児呼吸器感染症およびインフルエンザに関する最近の話題石黒 信久

243
東京内科医会 第196回臨床研究会

結節性多発動脈炎の一例波多野 裕明,他

248

アスベストばく露歴(職業性ばく露)のない悪性胸膜中皮腫の1例西牧 美幸,他

253

局所麻酔下胸腔鏡 ─内科医が行う胸腔鏡の有用性と限界─石井 聡

257
[東京内科医会 第196 回臨床研究会 抄録]261
医療連携室紹介

国立国際医療研究センター病院における医療連携森本洋昌,他

263
特集 市民セミナー2014 科学的根拠に基づいた正しい生活習慣病の治療

東京都内科医会市民セミナー2014清水 惠一郎

265

生活習慣病のコントロール目標値と基準値の違い ─都民の疑問に答える─横手 幸太郎

268

高血圧安田 洋

284

脂質異常症谷田貝 茂雄

290

糖尿病コントロールのコツ加藤 光敏

295
ひろば

先輩医師をたずねて(17)中村清治先生(町田市医師会)

300

短歌林 宏匡,横田英夫

301
理事会議事録302
会員の動向310
投稿規定313
編集後記黒瀬 巌314

2025年に向けて思うこと

東京内科医会 常任理事 須藤 秀明

昨年を振り返ってみますと、とても自然災害の多い年でありました。2月の関東地方の20年ぶりの大雪から始まり、各地で起きた豪雨による灌水被害や土砂災害、9月には御嶽山の噴火で多くの犠牲者が出ました。その後も、台風の列島縦断によって各地に被害を与え、11月には長野県北部で震度6弱の地震災害、12月には爆弾低気圧が再び各地に影響を与えました。特に御嶽山の噴火は、日本が110もの活火山を有する火山列島であることと同時に、火山災害についても、改めて考えさせられることとなりました。

また長野県北部の地震においてたくさんの家屋が倒壊したなかで、死亡者が全く出なかったとのことであり、新聞は「奇跡」と表現しておりました。しかしながら、これは決して「奇跡」ではなく「地域のつながり」と「自助・互助」の重要性が示された結果であると思われます。「向こう3軒両隣」を中心とした町内会のコミュニティーを個々が構築していくことで、互いに助け合うことが「互助」であり、さらにこれは災害時だけでなく「高齢者の孤立対策」や「認知症患者の支援対策」、そして2025年に向けての「地域包括ケア構築」の重要な要素でもあります。「地域包括ケア」では「自助・共助・互助・公助」という言葉で示されているものであり、「自助」とはセルフケアと介護予防も含めて自分のことは自分ですることであり、「共助」は介護保険に代表されるリスクを共有する者(被保険者)どうしの負担による福祉サービスのことであり、「公助」とは生活保護や一般財源による税の負担であります。また、「互助」とは共に助け合う「共助」と共通点もありますが、費用が制度として発生しない地域のボランティア活動や住民組織としての活動のことであります。国は「地域包括ケアの構築」には「互助」の要素を必要不可欠としていますが、一昔前の東京なら、映画「オールウェイズ三丁目の夕日」のように当たり前のこととして近所づきあいがありました。しかしながら、時代とともに生活スピードが加速し、プライバシーが尊重され、家族の形態も変化し、独居生活が増える都市部においては、転居しても町会に入らない、マンション等の自治会にも一度も顔を出さない人が多くなっている現状です。したがって、簡単に「それでは明日から」というようなわけにはいかないでしょう。だからといって、「昔に戻れ」というのも無理な話であり、われわれも今の生活形態を良しとして受け入れてきた責任でもあると思います。いずれにしても自分も15年後には後期高齢者の仲間入りをするわけで、こうなったらなるべく介護の世話にならないように「自助」として「セルフケア」を心掛け、介護保険制度だけでは賄えない場合に民間サービスを購入していくだけの蓄えを備えておくに越したことはないようです。