会誌:第31巻−1号[目次]

東京内科医会市民セミナー2015、第29回日本臨床内科医学会(熊本)、東京内科医会心臓・頚動脈エコー実地研修会、腹部エコー実地臨床研修会、第30回日本臨床内科医学会(東京)のお知らせ
巻頭言
療養費同意書を考える東京内科医会 常任理事 加藤 匡志1
東京内科医会 学術講演会

ウイルス感染症のTOPIX エボラ出血熱とデング熱加藤 康幸

2

B型肝炎に対する核酸アナログ治療の現況と今後の展望鳥居 信之

6

C型肝炎の最新治療 ―経口薬をどのように用いるか―田中 篤

11
東京内科医会第28回医学会
[教育講演]

魚油の脂質改善・抗動脈硬化作用とその作用機構龍野 一郎

16

酸分泌関連疾患の診療の変遷と最近の話題鈴木 秀和

23
[一般演題]

品川区胃がんリスク検診2年間の結果 ―導入までの過程と今後の課題―瀬底 正彦、他

28

高血圧症患者における尿中L型脂肪酸結合蛋白(UL-FABP)と心筋バイオマーカーの検討柳澤 孝嘉

33

手術によって治療可能な認知症について木内 章裕

38

テーラーメイドの医療IT導入 ―将来を見据えた汎用性を目指して―谷田貝 茂雄、他

42

ITを利用した地域医療連携システムが大学病院―無床診療所間の病診連携に及ぼす影響に関する考察黒瀬 巌、他

46
[東京内科医会第28回医学会抄録]49
東京内科医会第197回臨床研究会

腸管出血性大腸菌O157による溶血性尿毒症症候群の若年孤発例柴田 真希、他

52

腸管出血性大腸菌と溶血性尿毒症症候群柴田 真希、他

56

脂質代謝異常症を合併した非アルコール性脂肪肝疾患の治療―HMG-CoA還元酵素阻害剤によるALT値改善症例―三島 沙織、他

61

非アルコール性脂肪肝炎の最新知見野﨑 雄一、他

64
特集生活習慣病における食事療法

生活習慣病と食事療法 ―臨床医の視点から―宇都宮 一典

70

生活習慣病と食事療法 ―管理栄養士の視点から―金澤 良枝

74

糖尿病における食事療法のA to Z田中 逸

77

脂質異常症における食事療法のA to Z平野 勉、他

82

慢性腎臓病の食事療法のA to Z ―食事療法基準改定を踏まえて―酒井 謙

86

タニタ食堂の実際 ―500kcalのまんぷく定食で社員の健康管理 おいしく続く低カロリーのコツ―龍口 知子

91
ひろば

先輩医師をたずねて(18)清水 直容先生

95

俳句鈴木良戈

96
理事会議事録97
会員の動向106
投稿規定112
東京内科医会役員100
東京内科医会定款107
編集後記若井 安理115

療養費同意書を考える

東京内科医会 常任理事 加藤 匡志

最近、療養費同意書を書いてくれるように患者さんから頼まれることが多くなってきているように思われるが、みなさんはどうだろうか。私の場合、以前は少なかったので多少疑問をもちながらも書いていた。整形外科医でもない内科医の自分が書き続けていいのだろうか。この頃、いろいろ話題にもなっているので、調べてみた。

保険点数便覧では療養同意書交付料100点で「健康保険法第87条の規定による療養費(柔道整復以外の施術に係るものに限る)に係る同意書を交付した場合に算定する」と書いてある。さらに、「原則として当該疾患に係る主治医が、診察に基づき、療養の給付を行うことが困難であると認めた患者に対し、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの施術に係る同意書または診断書を交付した場合に算定する」とある。自分の場合を振り返ってみると、内科疾患で通院している患者さんが腰が痛い、肩が痛いときなど患者さんに頼まれて痛み止め等を処方してきた。それでほとんどの患者さんに満足していただいていた。それでも治らないときは近所の整形外科の先生に診てもらうように話していた。すると患者さんは整形外科へ行く人もいれば、なかにはあん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの療養院へ行く人もいる。それはそれで患者さんの自由であるからいいだろう。しかし、保険であん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうを受けたいからと患者さんが療養同意書を書いてほしいというのは明らかに筋が違うと思う。しかし、以前は療養同意書を書いてほしいという人はあまりいなかった。最近は明らかに増えている。患者さんに聞いてみるとケアマネージャー等に勧められることがあるようで、患者さんとしては何のためらいもなく同意を求めてくる。また、「はり、きゅうの療養同意書を書くと同一疾患でかかっている医療機関での保険診療との併用は認められない」とある。これではよく考えて書かないと保険診療で査定されてしまう。さらに療養担当規則第17条では「保険医は患者に疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、みだりに施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてならない」とある。これでは内科医としてはいい加減な気持ちで療養同意書は書けない。しかし、患者さんが脳梗塞等で麻痺があり、関節の拘縮を防ぐためにマッサージをしていただきたいときはあるように思うし、実際、老人ホームにて脳梗塞後遺症の患者さんに療養同意書を書いているが、これはいいだろう。私のような整形外科的疾患を診ていない医者は、肝に銘じて本当に主治医である疾患に対して責任をもって療養同意書を書いていこう。とはいえ、いつも診ている患者さんに頼まれると非常に断りづらいのが現状であるが、それでもよく説明して納得してもらおう。