会誌:第31巻−2号[目次]

東京内科医会第32回セミナーのお知らせ
東京内科医会第29回医学会のお知らせ
第33回日本臨床内科医会総会のお知らせ
第30回日本臨床内科医学会(東京)のお知らせ
平成27年度“川上記念賞”受賞候補者推薦のお願い
巻頭言
生きている限り歩き続ける ―健康寿命の延伸を目指して―東京内科医会 理事 染谷 泰寿185
特別寄稿

中東呼吸器症候群(MERS)大曲 貴夫

120
東京内科医会 第198回臨床研究会

入院加療を必要としたデング熱の一例 ―デング熱診療のpitfall―篠原 浩

123

国内デング熱の臨床 ―当院での診療経験を交えて―忽那 賢志

127

良好な脂質コントロールにもかかわらずイベントを起こした2症例中川 尭

131

Residual Riskについて原 久男

135
東京内科医会 第199回臨床研究会

24歳女性 10年間繰り返す発熱と腹痛國松 淳和

142

家族性地中海熱の臨床 ―診たことがなくても疑い、拾い上げる―國松 淳和

143

GAD抗体陽性糖尿病の症例に対してリラグルチドを使用し良好な血糖コントロールを得た1例高橋 信行

146

1型糖尿病治療のこれから中條 大輔

150
特集 医療事故調査制度

医療訴訟の現状と対策小林弘幸

155

医療事故調査制度について ―医師の立場から―岩井 完、小林 弘幸

159

医療事故調査制度について ―医療者側弁護士の立場から―水島 幸子

163
東京内科医会 保険部 調査報告

「地域包括診療加算・地域包括診療料について」アンケート調査結果のご報告須藤 秀明

167
ひろば

先輩医師をたずねて(19)高見沢 裕先生(渋谷区医師会)

169

短歌林 宏匡、横田 英夫

170
理事会議事録171
会員の動向176
投稿規定179
編集後記大西 真由美180

平均寿命と健康寿命

東京内科医会 理事 皆川 一孝

日々の外来診療にて20年以上のお付き合いとなる患者さんも少なくない。最近、足腰が弱り通いきれなくなってしまった、認知症が悪化し施設に入所したなどの声を聞く。お年をみると80歳台や90歳台とかなりの高齢であり仕方無いかとも思う。一方、毎朝ラジオ体操に公園へ通っている、週1回はゴルフを楽しんでいるという方々もいる。寿命が伸びてきているのは実感しているが、元気に生活できている人も増えているのであろうか。

7月30日厚生労働省調査にて本年度の日本人平均寿命が報告された。それによると男性80.50歳、女性86.83歳と男性が世界4位から3位へと浮上し、女性は3年連続世界一となった。調査によると平成72年には男性84.19歳、女性90.93歳まで伸びると予想されている。しかし、「ヨカッタ、ヨカッタ!」と喜んでばかりはいられない。寝たきり、認知症などのため介護が必要な状態では100歳まで生きたとしても嬉しくはない。

WHOが平成12年に打ち出した概念、健康寿命:平均寿命から介護(自立した生活ができない)を引いた数は、平成25年日本人男性71.11歳、女性75.56歳である。何と男女ともに世界1位。平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約11年の差が有り、これを詰めることが最後まで健康で生き生きとした生活を送れることとなる。

自立度の低下や寝たきりの原因の第1位は「運動器の障害」であることが判明した。それにより移動機能の低下した状態を「ロコモティブシンドローム(略称ロコモ)」という。国民の4,700万人がそのリスクを保有しているとも言われ早急な対策が望まれている。適切な運動習慣を付ける、やせ過ぎと肥満を防ぐ、骨粗鬆症や変形性関節症・変形性脊椎症を放置しないなどが必要である。整形外科医のみならず内科医にも対処が期待される。メタボややせ過ぎを防ぐ正しい食生活の指導、栄養バランスの改善など外来における教育もロコモ予防となろう。

来年10月には第30回日本臨床内科医学会が新宿で開催される。テーマは、真の健康長寿社会を目指して―今、実地内科医がすべきこと―。学会を盛り上げ成功させることは勿論、更に詳しく学習し知識を取り入れ、すぐにでも実践して行きたいと思う。