会誌:第32巻−1号[目次]

第30回日本臨床内科医学会(東京)のお知らせ
東京内科医会心臓・頚動脈エコー実地研修会,腹部エコー実地臨床研修会のお知らせ
巻頭言
57357病院東京内科医会 理事 安田 洋1
特別寄稿

non-HDLCとLDLCの動脈硬化性疾患の発症予測能について岡村 智教

2
東京内科医会学術講演会

かかりつけ医による更年期のヘルスケアサポート ―健康食品の上手な活用法―太田 博明

7
東京内科医会第29回医学会
[教育講演]

COPDをめぐる最近の話題:注目される病態と治療薬の使い分け木田 厚瑞

13

生活習慣病と認知症羽生 春夫

19
[一般演題]

頭痛診療および薬物乱用頭痛(medication overuse headache=MOH)に関するアンケート調査神津 仁

24

外来におけるフレイル対策(問診表の試作と介入方法)野口 眞利

31
[東京内科医会第29回医学会抄録]36
東京内科医会第201回臨床研究会

強化インスリン療法で糖毒性解除後,持効型インスリンと経口血糖降下薬の併用療法に切り替えた2型糖尿病の一例大塚 雄一郎

39

2型糖尿病治療薬の選択山口 賢

43

多発性膵腫瘤を呈した自己免疫性膵炎の一例金子 朋弘,他

45

自己免疫性膵炎の診断と治療林田 まり子

50
特集CKDの病態と集約的治療―重症化予防のためにできること―

CKD総論南学正臣,他

57

糖尿病性腎症阿部雅紀

60

CKDと高血圧吉村道博

66

CKDと高尿酸血症木村健二郎

71

CKDと骨粗鬆症竹内靖博

76

CKDと腎性貧血常喜信彦

81
ひろば

先輩医師をたずねて(21) 梅里 継時先生(墨田区医師会)

85

短歌林 宏匡,横田 英夫

86
理事会議事録87
会員の動向97
東京内科医会定款98
投稿規定105
編集後記石川 徹106

57357病院

東京内科医会 理事 安田 洋

近未来を描いたアニメや映画に出てくるようなネーミングですが、実はエジプトにある小児がんの専門病院の名前です。設立から運営まで寄付とボランティアで成り立っており、口座番号が名前になっているユニークな病院です。

元になったのは1962年メンフィスに設立されたセントジュードこども研究病院。どちらの病院も治療費から付添いの家族の交通費や宿泊費まで無料で提供されています。また、1982年には世界初の小児ホスピスであるヘレンハウスが寄付により設立されました。イギリスのオックスフォード郊外にあり、今や小児ホスピスの聖地になっています。

日本でも少しずつですが、寄付による医療施設ができつつあります。私の大学の同級生がかかわっている「こどものホスピスプロジェクト」。日本初のコミュニティ型こども向けホスピスが先日大阪に完成しました。ユニクロから多額の寄付があり完成に大きく近づけたようです。小児ホスピスに関しては、福岡や横浜でも有志による草の根運動があり、国立成育医療研究センターにも「もみじの家」という短期型の入居施設が今年4月から運営を開始しています。

みなさんは世界寄付指数というものをご存知でしょうか? 寄付金・ボランティア・人助けを総合的に数値化した指標で、2010年より国別のランキングが発表されています。2015年度はアメリカが2位で、日本は恥ずかしながら102位。

「欧米人が寄付をするのは、節税対策ですよね?」

日本でも2011年に税制が改正されて、公益法人への寄付なら欧米並み、あるいはそれ以上に寄付金控除があります。

「キリスト教徒だから、欧米人は寄付をするんですよね?」

2015年度の世界寄付指数の1位は、仏教国のミャンマーです。日本には、世界に誇る奉仕精神「おもてなし」があるはずなのですが、数値化されると世界的には全く評価されていないようです。

阪神大震災が起こった1995年は「ボランティア元年」、東日本大震災が起こった2011年は「寄付元年」と言われています。熊本での震災時にはDMATやJMATとしてボランティアに参加した先生も多くおられるかと思います。また、寄付をされた先生も含めて、以前よりもボランティアや寄付に対する意識が高まっているかと思います。

ただ、大災害時の一時的な寄付やボランティアだけではなく、継続的なものはまだまだ根づいていないのが現状ではないでしょうか? 私自身、返礼品が話題の「ふるさと納税」は毎年がんばっている割に、継続した寄付は少なめです。医療関係者として、もう少し社会貢献できるように今年からは継続した寄付を増やしてみたいと思います。みなさんもいかがでしょうか?