WITHコロナから脱( POST )コロナへ
この原稿を書いている2023年 1月現在、新型コロナ第 8 波がピークを迎えようとしている。今回は第 7 波のような急激な立ち上がりではなく、 11 月頃から持続的に増加し続けていることや、過去 2 年間全く流行のなかったインフルエンザが急増していることが特徴である。政府の WITH コロナ政策により行動制限が緩和され、 12 月の忘年会シーズンや年末年始の移動が解禁になり、人々の意識も以前の日常生活に戻りつつある。 一方医療現場では混乱が続いている。一次救急診療所では第7 波時よりは軽減しているものの、発熱外来が急増して新型コロナとインフルエンザの対応 や、重症化リスクの有無による治療方針の変更に苦慮している。病院の 2 次 3 次救急では、救急外来や入院患者が急増して中等症~重症の対応に追われ、結果としてコロナ以外の疾患の対応が後回しになることが再度起きている。この 3 年間でコロナ感染対応に慣れてきているとは言え、何時までコロナ対応をしなければならないのか? と医療従事者の嘆きを耳にすることが多い。希望的観測で言えば、今年こそピー クアウトを迎えて欲しいものである。 新型コロナは現在2 類相当に位置づけられているが、今春には 5 類相当へ引き下げることが検討されている。 5 類になれば全数把握から定点把握になり行動制限が大幅に改善されるため、いよいよ脱コロナ化を目指すことになる。脱コロナとは、我々東京内科医会理事仲間であり、東京都医師会や日本医師会の理事としてご活躍されている黒瀬巌先生が名付け親である。脱( POST )コロナ後のこれからの医療政策がどのように変化していくのか、経緯を見守りたい。
もう一つ別の話題で是非強調したいことがある。厚労省から2022 年度出生率が 80 万人を割ることが発表された。前年比 5 %減で少子化傾向が止まらず、コロナ禍での婚姻数の減少が原因とされるが、それ だけではない。若い世代で元々結婚願望がない、あるいは経済的に結婚する余裕がない方が増えていると聞く。また結婚してもダブルインカムやライフスタイルを重視し、子供を持つことを希望しない夫婦もいる。少子高齢化はこれからの日本の経済や医療を考えていく上で最も大きな課題であり、早急な対策が必要になる。出産一時金や子供手当の増額、公立 学校の無償化、不妊治療費の一部保険負担等、政府は対策を行っているが、若者の意識を変えるにはどの様な社会にしていけば良いのか? 今後の切実な問題である。